絵本「かみさまからのおくりもの」の在版フィルムのデジタルデータ化
在版フィルムのデジタルデータ化〈その1〉
今回、こぐま社さんから出版されている絵本「かみさまからのおくりもの」の在版フィルムを、デジタルデータ化しました。
「かみさまからのおくりもの」は1984年の初版から、現在では110刷を越えるロングセラーの絵本です。
そのため、在版フィルムは経年劣化が進んできている状態でした。
この絵本の原画は色紙を貼り重ねる方法で制作されていますが、紙の立体感や調子などがフィルムの劣化により、イメージ通りに印刷することが難しくなってきていました。
データ化の方法としては、在版フィルムをスキャニングしてデジタルデータ化する方法もありますが、112回もの印刷に使用したフィルムは、網点の減少や消失があるため、今回のデータ化の趣旨とは違うため採用できません。
印刷物からのスキャニングも、初版当時の物は紙が焼けてしまっている為、綺麗にスキャニングできないため不採用となりました。
そこで、今回はこぐま社さんに大切に保管されていた原画やポジフィルムを使い、一から作り直すことにしました。
原画やポジから取り込んだ画像を、既存の絵本の色調を忠実に再現できるよう、印刷物や在版フィルムの網点を確認しながらの調整作業を行いました。
更に、かつてアナログ製版をした当時と比べ、今の技術だからこそ出来る、原画の細かなイメージ再現の調整を行いました。
※新たに在版フィルムをデジタルデータ化し印刷したもの(アフター)
完成したデータから印刷した絵本「かみさまからのおくりもの」は、これまで以上に紙の立体感や風合いなどが原画本来のイメージで表現されたものとなり、出版社さんにも大変喜んでいただけました。
ご興味をお持ちになり、データ化前後の現物を比べて見てみたいという出版関係者の方は、是非、弊社までお問合せください。